800字で2作品レビューしている

「東京サラダボウル」全5巻を読んだ。僕が今のつとめ先に来たばかりのクールにやっていたドラマで、新大久保がロケ地になっているだとかで話題になったのだ。ドラマはあまり見ないのでその時は流してしまっていたが実はちゃんと漫画原作があったことに気がついた。それも、僕の好きな「クロサギ」の作者である黒丸さんの作品だ。

東京サラダボウルは、在留外国人の多い新宿区を舞台に、所轄の国際捜査係につとめる鴻田と、警察通訳人である有木野を主人公とした(たぶんおそらく)バディもので、外国人との共生や、さまざまなマイノリティの課題にも切り込みながら展開する。有木野はクロサギの黒崎からやんちゃさというか、年齢ゆえの幼さを削った感じ、逆に鴻田は氷柱ちゃんが比較的穏やかで、立場上どうしても本筋にも絡みづらいところがあったからか、パワフルで、物語を動かすキー・パーソンとなっている。通訳というテーマ上、中国やベトナムの言葉なんかも知れてとてもよい漫画だった。

何をしているかといいますと、ようするに新大久保モノを探しているのだ。うちの売れ筋「ルポ新大久保」もそうだが、研究対象として新大久保を扱う書籍なら土地の性質上いろいろとあるが、もう少し気軽に読める作品をそろえたい。この間読んだ「レイアウトは期日までに」(碧野圭、U-NEXT)がたまたま新大久保を舞台設定にしていることに気づいてから、知らないだけで「かくれ新大久保」本はまだまだあるのではと考えている。

「レイアウトは期日までに」は契約を切られてしまったデザイナーと、うれっこだけど少し変わっている装丁家のこれまたバディもの。公式のあらすじでは新大久保には特に触れられていない。それもそのはずで、地の文に百人町が出てきたり、実在する韓国料理屋で食事をする描写こそあるものの、新大久保である必然性が物語に(たぶん)ないのである。帯にだけ「新大久保に事務所を設立」と書いてあったので、気づいたのが奇跡というか、本屋をぶらぶらする意味ってやっぱりこういうところにあるよなあと腕を組んでうんうん頷くばかりである。

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